HELLO!career well-being!|会社の成長のために欠かせない社員の成長。「どういう人に活躍し続けてほしいか」を考え続けた結果、ひとりひとりが活躍できる文化が根づいた|オイシックス・ラ・大地株式会社の取り組み

コラム
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HELLO!career well-being!」プロジェクトは、社員のcareer well-beingを大切にしている企業を“見える化”して、同じような企業を増やしていくことでワーママをはじめとする、すべての人たちが納得のいくキャリアを築いていける社会を目指しています。
 
今回お話を聞いたのは、食品宅配サービス「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」を運営するオイシックス・ラ・大地株式会社(以下、オイシックス)HR本部人材スカウト室室長の小穴貴子さんと、子育てと両立をしながらエンジニアとして活躍されているシステム本部の原智子さん。他社にはない新たな制度を取り入れ、社員のcareer well-beingを実現してきた取り組みや、働き方などをお話いただきました。
 
お話を伺った人
オイシックス・ラ・大地株式会社
・HR本部人材スカウト室 室長:小穴貴子さん(写真左)
・システム本部 システム基盤部 DBREセクション マネジャー:原智子さん(写真右)
 
<人事制度や取り組みについて>
―まずは小穴さんにお伺いします。貴社が考える”career well-being”とは、どのようなものでしょうか?
■立場や役職にとらわれず、ひとりひとりが成長して活躍できること
オイシックスは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念をもとに、食に関する課題をビジネスで解決していくことをミッションに掲げています。これを実現していくためには持続可能な事業、さらには、会社も持続的に発展し続けていく必要があり、ママやパパ、何かしらの制約・制限がある人も、立場や役職にとらわれず、ひとりひとりが成長して活躍できるような風通しのよい職場づくりを大切にしています。
 
特に、人材育成や人材の活躍に力を入れており、どうやったら社員が成長し活躍できるのか、さらには、それが事業にどうつなげられるのかを、日ごろから社員同士でも頻繁に話し合っています。
 

―”career well-being”を実現するために、どのような取り組みをされているのでしょうか?
■ロジカルシンキングを重視した、人材育成に注力
いろいろな立場の人が活躍して、充実感を得ながら働き続けられる職場づくりを実現するためには、社員ひとりひとりの、マインドを含めたスキルを高めていくことが大事だと考えています。特に、ロジカルシンキングを重視した人材育成に力を入れていて、OFF JT(Off The Job Training)なども含めて、いろいろなミーティングや役員との会話の中にも、ロジカルシンキングにのっとった課題解決の議論がなされています。
 
具体的には、まず入社時に複数回、ロジカルシンキングをレベルごとに分けた研修で徹底的に学んでいきます。1回1時間の研修のほか、課題や中間テスト、1on1、認定テストなどがあって、学んだものが高いレベル感で理解・実行されるまでフォローし続けます。
 
私自身、子育てをしながら時短勤務をしていて、なおかつ、室長というポジションです。ロジカルシンキングのフレームワークを徹底的にインプットできたからこそ、制限がある中でも、会社が期待するパフォーマンスを出せる状態に1段引き上がったという実感を持てています。一見すると”career well-being”に直結していないようですが、ロジカルシンキングを徹底的に理解することは、効率的なアウトプットにつながり、めぐりめぐって社員の”career well-being”を高めることに寄与している。重要なスキルだと考えています。
 
■エンゲージメント診断などを活用して、社員が安心して働ける環境を整備
加えて、定期的にエンゲージメント診断を実施して、社員が安全・安心に働けているか調査しています。さらに、キャリアコンサルタントの資格を持っている社員が、年間KPIを設定して、キャリアセミナーやキャリア相談を実施。スキル面だけでなく、社員の心理的なところにも寄り添い、なおかつ、この先のキャリアも意識した取り組みを実行しています。
 
また2023年、新たにD&I委員会を立ち上げました。特にLGBTQの理解醸成に向けた取り組みを推進していて、実行メンバーを社員から公募するなど、会社全体でつくり上げようとしています。
 

―社内の風土づくりにおいて、工夫されていることを教えてください
■活躍すべき人材に適切な役割が与えられるという価値観が風土として浸透
育休から復職する社員に向けて「復職式」を実施しています。これは育休から復職した社員が、たとえば後ろめたそうにしていたり、そのせいで活躍が阻害されるのはとにかくもったいないという思いからつくられた制度。会社としての「ウェルカム感」を伝え、安心して復職してもらえるような環境をつくっています。また、時短勤務が30分単位で調整できるほか、有給休暇も時間単位で取得可能なので、1時間だけ病院に行くような場合なども休みを自由に調整できます。このほかにも出社とリモートワークを併用できるなど、「かゆいところに手が届く」働き方の選択肢を用意しています。
 
社内では、男女やママ・パパなどの属性を意識することはありません。現在の女性の管理職比率は25%、女性の役員比率は38%(2023年3月末時点)で、女性役員比率は小売業界では2位と高い数字を維持しています(2022年7月末時点)。そしてこの数字に対して、社内で誰も「すごい」という感覚は持っていません。女性であることの障壁や課題感がないことが当たり前すぎて、他社の方から「なぜ、できているの?」と聞かれることもあるのですが、返答に困ってしまうほど。それぐらい自然に、活躍すべき人材に適切な役割が与えられるという価値観が風土として浸透しています。
 

―現在の姿に至った過程を含めて、工夫されているポイントを教えてください
■人が集まり、成長していくために最適なものを取り入れ、ひとつひとつ積み上げてきた
「会社が成長する」ためには、社員の成長がとても重要です。これまで組織が大きくなる過程で、人が定着しないなど、いろんな課題はありましたが、その時に、どういう人たちに会社にいてほしいのか、働き続けてもらうためにはどういう価値を提供すべきかを考え続けてきたことが大きく影響していると思っています。
 
たとえば育児や介護など、制限がある人たちに働き続けてもらうために、「活躍すべき人が、活躍できる場を提供すべき」という議論がなされ、少しずついろんな制度がつくられてきました。加えて、むやみやたらに制度をつくるのではなく、「本当に、人の活躍や成長に必要なものか?」を都度検討しながら、人が集まり、成長していくために最適なものを取り入れ、ひとつひとつ積み上げてきた結果だと思っています。
 

<エンジニアとしての働き方>
―続いて、原さんにお伺いします。ご入社の経緯を教えてください
■「子どもに誇れるママでいたい」「子どもを、あきらめる言い訳にしたくない」という思いでチャレンジ
前職はSIerで、12年間、通信キャリアの基幹システムの設計や構築などに携わってきました。開発とインフラ、両方のPM(プロダクトマネジャー)を経験しながら、データベースエンジニアとしてもスキルを積んできました。PMとデータベースエンジニア、どちらもできる人材は業界にも少なくて、珍しいキャリア形成をしてきたと思っています。その後、2016年に出産して復職。これからのキャリアを考えていた中で、オイシックスと出会い、2020年に入社しました。
 
転職の際は、長年働いてきて、ある程度の融通も利く会社でこのまま働くほうが楽かなと考えることもありました。加えて、SIerで基幹系システムの設計や構築などに携わってきたエンジニアが、Web系の事業会社にいくのは、今までの経歴を捨てるぐらいのキャリアチェンジです。しかし、これまでどちらかと言うとサブのスキルとしてやってきたデータベースエンジニアとして自分がどこまでできるか挑戦したいと思うように。「楽さ」と「挑戦」を天秤にかけた時に、挑戦をあきらめたら後で後悔しそうだと思ったんです。
 
また、私は日ごろから「子どもに誇れるママでいたい」「子どもを、あきらめる言い訳にしたくない」と考えていて、子どもから「ママってかっこいい」「仕事をがんばってるね」と思ってもらえるような姿を目指してきました。数年後に「あの時、子どもが小さかったから」と言い訳をするのではなく、「この選択をしてよかった」と思えるように、オイシックスへの転職を決めました。入社後1~2年は、主にデータベースエンジニアとして業務して、現在は、システム本部でPMとデータベースエンジニア、組織マネジャーの3つを担当しています。
 

―“career well-being”の視点で感じる、前職と現職の違いを教えてください
■上司にママ社員がたくさんいる安心感と、「家族が体調不良ならみんな休もう」という文化
実は前職の仕事はとてもハードで身体的にとてもつらいこともありました。初めての妊娠・出産とエンジニア、さらに、マネジメントを両立しなければいけない状態で。子どもを寝かしつけた後に仕事をやる生活を続けるうちに、子どもに「ごめん…」と謝る回数が増え、自分の睡眠時間も減っていったんです。
 
前職も子育て推進を掲げている会社でしたが、エンジニアのママは初めて。周りも、どうフォローしたらいいか分からない状態、なおかつ、自分もどうフォローしてほしいかうまく言えなくて、自分なりに案は出していましたが、今思うと最適ではなかったところもあったと思っています。たとえば、前職はtoBの仕事で、子どもの体調不良によって、打ち合わせを休まないといけないこともあって。そんな時に、上司に「カウンターパートをほかのメンバーに代わってもらえないか」と伝えたところ、よかれと思って、商談にはかかわらないようなポジションになってしまったんです。どちらかが悪いわけではく、お互いに初めてのことでWin-Winになる対応ができませんでした。
 
オイシックスも、会社全体の女性の割合はとても多いですが、エンジニアは少ないんです。しかし上司や役員に子育てをしているママ社員がたくさんいるので安心感があります。また会社全体として、男女関係なく「家族が体調不良ならみんな休もう」という文化も。前職はそういう場合でも「どうにか調整できないの…?」というような雰囲気だったので、ここに前職との大きな違いを感じています。今は圧倒的に気持ちが楽になりました。仕事を持ち帰ることもほとんどなくなったので、前職で1番大変だった体のつらさもなくなりました。
 
こういう文化は、子育て家族向けのサービスを提供しているオイシックスでは当たり前なことだと思っています。会社が子育て世帯の気持ちを分かっていなければ、サービス運営はできません。そこでこのような文化が生まれ、育まれてきたと実感しています。
 

―転職したことによって生まれた、キャリアや仕事に対するマインドの変化はありますか?
■仕事に対して「楽しいな」と思うことが増え、キャリアにおける幸福度が上がった
オイシックスに転職して、何よりもうれしかったのは、希望していたデータベースエンジニアのポジションをもらえて、そこで成果を出せたこと。これまで培ってきたデータベースエンジニアの土台を活かして、成果につなげられて、「やってきたことに意味があった」と感じています。1年目のプロジェクトでは社内賞をもらうことができました。最近は、社内で認められた成果を社外イベントで発表するなど、エンジニアのコミュニティイベントに呼んでもらえることも増えて。社内・社外ともに評価をしてもらえている実感があります。このように仕事に対して「楽しいな」と思うマインドを持てるようになったことで、キャリアにおける幸福度が上がったと感じています。
 
前職でも、「マネジメントではなく、エンジニアをメインにしたい」と希望を伝えていましたが、会社側としてはエンジニアのスキルを伸ばしてほしいということで希望はなかなかかないませんでした。自分が欲しい「幸福」を選択して、そこを満たせたことが前職と現職で大きく違う部分だったと思っています。
          
                                                                                               
―これからチャレンジしていきたいことはありますか?
■ほかの部署を含めた組織マネジメントなど、新しいことにもチャレンジしていきたい
やりたいことはある程度できていると思っていますが、自分のスキルをもう1つ上げるために、ほかの部署を含めたエンジニア同士の組織マネジメントにも注力していきたいと思っています。最近は、違う部署のエンジニアを集めて、お互いの課題を解決していったり、コミュニケーションを増やして意見を言いやすい環境づくりをしたり。エンジニア同士の協業をより円滑にできるような取り組みを始めています。
 
また、本来であれば開発側がやる機能の実装を、あえて自分がいるインフラ側でやってみるなど、新しいことにもチャレンジし始めています。開発側に頼っていた部分をインフラ側が負担することで、インフラ側の自分たちは新しいことに挑戦するチャンスをもらえて、開発側の困っていることも手助けすることができる。このようにお互いwin-winな関係を築いていけたらいいなと思っています。
 

★オイシックス・ラ・大地株式会社のcareer well-being!実現のポイント★
1.ロジカルシンキングを重視した、人材育成
2.「復職式」や「30分単位の時短勤務」など、社員全員がどんな環境下でも働きやすい細やかな制度設計
3.男女関係なく「家族が体調不良なら休もう」という文化
 

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